その他の応急手当
のどが詰まったときの手当
出血したときの手当
骨折に対する手当
熱傷(やけど)に対する手当
熱中症に対する手当
ショック状態のときの手当



のどが詰まったときの手当 
 咳をすることが可能であれば、咳をできるだけ続けさせてください。咳は、異物の除去にもっとも効果的です。
 その他の場合の方法を以下にご紹介します。

 
腹部突き上げ法(ハイムリック法)
ハイムリック法
 腕を後ろから抱えるように回します。

 片手で握りこぶしを作り、みぞおちのやや下方に当て、その上をもう一方の手で握り、すばやく内上方に向かって圧迫するように押し上げます。

【メモ】
 この方法は、反応がない人や妊婦、1歳未満の乳児には行わないでください。
背部叩打法
背部叩打法
 ひざまずいて、自分の方に向けて横向きにし、手のひらで肩甲骨の間を力強く連続して叩きます。
【メモ】
 傷病者の体位(立っている場合、座っている場合など)に関わらず実施します。

乳児の場合
背部叩打法(乳児)  片腕に頭を低くして腹ばいにさせ、あごを手にのせ固定します。

 もう一方の手で背中の真ん中を叩きます。(背部叩打法)

【メモ】
 乳児に腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行ってはいけません。



出血したときの手当
 一般に体内の血液の20%が急速に失われると出血性ショックという重篤な状態になり、30%を失えば生命に危険を及ぼすといわれています。出血量が多いほど、止血手当を迅速に行う必要があります。
 出血時の止血方法としては、出血部位を直接圧迫する直接圧迫止血法が基本です
直接圧迫止血法
止血の図1  止血の図2  きれいなハンカチ、タオルなどを重ねて傷口に当て、その上を手で圧迫します。

 片手で圧迫しても止血しないときは、両手で体重を乗せながら圧迫止血します。

 【メモ】
 止血の手当を行うときは、感染防止のため血液に直接触れないように、できるだけビニール袋などを使用します。

 出血を止めるために手足を細いひもや針金で縛ることは、神経や筋肉を損傷する場合があるので行いません。




骨折に対する手当
 身近なもの(雑誌、段ボール、板など)を副木として利用し固定します。

 骨折が疑われるときも同様に手当します。

【メモ】
 
副木は骨折部の上下の関節も固定できる長さのものを用意し、関節も動かぬよう固定します。
 
腕の固定の様子1
腕の固定
腕の固定の様子2
雑誌を利用した前腕部の固定
腕の固定の様子3
三角巾などで腕をつる
足の固定1
足の固定
足の固定2

ダンボール等を使用した下肢の固定



熱傷(やけど)に対する手当
やけどの手当の様子  できるだけ早く、水道水などの清潔な流水で十分に冷やします。

 靴下など衣類を着ている場合は、衣類ごと冷やします。

 氷などを使って長時間冷やすと、冷えすぎてしまい、かえって悪化することがあるので注意します。

 広い範囲にやけどをした場合の冷却は、体全体が冷えてしまう可能性があるので、冷却は10分以内にとどめます。



熱中症に対する手当
熱中症の手当の様子  体の冷却はできるだけ早く行う必要があります。涼しい場所に移動したら、体から熱を奪うために、うちわや扇風機で風を当てることが一番効果的です。

 風があたるように衣服を脱がせて皮膚を露出し、あまり汗をかいていないようであれば、皮膚に水をかけて濡らしてから風をあてる必要があります。このとき、氷水をかけるよりもぬるい水をかけてから風を当てる方が効果的です。

 アイスパックなどが準備できれば、首、脇の下、太ももの付け根などにあてると効果的です。

【メモ】
 熱中症の傷病者は発汗によって、脱水状態になっているので水分を十分に補うことが重要です。

 汗により水をだけでなく塩分も喪失しているので、できれば水だけでなく、少量の塩を加えた水か、最初から塩分の含まれているスポーツドリンクを飲ませることが効果的です。


ショック状態のときの手当
ショック状態  水平に寝かせます。

 頭にけががなければ、両足を30cmくらい高くします。

 衣服をゆるめます。

 毛布や衣服をかけて保温します。

【メモ】
 
ショックでは皮膚が青白く冷たい、冷汗、脈拍が弱く速い、呼吸が速く浅い等の症状が出ます。